
介護・福祉施設事業者の皆さん、BCP(事業継続計画)は作成していますか?
BCPとは、災害や感染症などの危機的な状況において、事業を継続するための計画です。
BCPは、大規模な企業や公共機関だけが必要なものではありません。
小規模な介護・福祉施設事業者でも、BCPを作成することで、利用者や職員の安全を確保し、事業の存続につなげることができます。
しかし、BCPを作成するには、専門的な知識や経験が必要だと思われがちです。
また、コンサルタントに依頼すると、費用が高くつくという懸念もあります。
そこで、この記事では、小規模介護・福祉施設事業者が自力でBCPを作成するためのチェックポイントを紹介します。
以下の5つのステップに沿って、BCP作成に挑戦してみましょう。
ステップ1:事業の目的と重要度を明確にする
まずは、自分の事業の目的と重要度を明確にしましょう。
事業の目的とは、利用者や社会にどんな価値を提供しているかということです。
例えば、「高齢者の自立支援」「障害者の社会参加促進」「地域住民の健康増進」などが考えられます。
事業の重要度とは、危機的な状況において、事業を継続する必要性や優先度ということです。
例えば、「生命に関わるサービス」「法律や契約に基づくサービス」「利用者からのニーズが高いサービス」などが考えられます。
事業の目的と重要度を明確にすることで、BCP作成の方向性や優先順位を決めることができます。
また、利用者や職員にも事業の意義や価値を伝えることができます。
ステップ2:危機的な状況のシナリオを想定する
次に、自分の事業に影響を与える可能性のある危機的な状況のシナリオを想定しましょう。
危機的な状況とは、災害や感染症だけではありません。
例えば、「職員や利用者の感染や怪我」「施設や設備の損傷や停電」「交通や通信の遮断」「物資や資金の不足」「法律や規制の変更」などが考えられます。
想定するシナリオは、自分の事業の特性や地域の状況に合わせて、具体的かつ現実的に設定しましょう。
想定するシナリオには、発生確率と影響度を評価し、マトリクスに表してみましょう。
発生確率とは、そのシナリオが起こる可能性の高さということです。
影響度とは、そのシナリオが事業に与える損失やダメージの大きさということです。
マトリクスに表すことで、どのシナリオに対して備えるべきかを判断することができます。

ステップ3:事業継続に必要な要素を特定する
続いて、事業継続に必要な要素を特定しましょう。
事業継続に必要な要素とは、事業を遂行するために欠かせない人材や物資や情報などのことです。
例えば、「職員やボランティア」「利用者や関係者の連絡先」「施設や設備や車両」「医薬品や消耗品や食料」「会計や給与や契約書」などが考えられます。
事業継続に必要な要素を特定することで、危機的な状況において、どの要素が欠けると事業が停止するかを把握することができます。
事業継続に必要な要素には、重要度と代替性を評価し、マトリクスに表してみましょう。
重要度とは、その要素が事業の目的や重要度にどれだけ寄与しているかということです。
代替性とは、その要素が欠けた場合に、別の方法で代替できるかということです。
マトリクスに表すことで、どの要素に対して備えるべきかを判断することができます。

ステップ4:事業継続の方針と手順を策定する
次に、事業継続の方針と手順を策定しましょう。
事業継続の方針とは、危機的な状況において、事業をどのように継続するかという基本的な考え方です。
例えば、「事業の優先順位」「事業の規模や範囲」「事業の期間や目標」「事業の責任者や体制」などが考えられます。
事業継続の手順とは、危機的な状況において、事業を実行するための具体的な作業や流れです。
例えば、「危機的な状況の判断基準や通報方法」「利用者や職員や関係者への連絡方法」「施設や設備や物資の確保方法」「サービスの提供方法や変更方法」「記録や報告や評価方法」などが考えられます。
事業継続の方針と手順を策定することで、危機的な状況において、迅速かつ適切に事業を遂行することができます。
また、利用者や職員や関係者にも事業継続の内容や方法を伝えることができます。
ステップ5:BCPを定期的に見直し・改善する
最後に、BCPを定期的に見直し・改善しましょう。
BCPは、一度作成したら終わりではありません。
危機的な状況は常に変化し、新たなリスクが発生する可能性があります。
また、自分の事業も変化し、新たなニーズや課題が発生する可能性があります。
そこで、BCPを定期的に見直し・改善することが必要です。
BCPの見直し・改善には、以下の3つのポイントを参考にしましょう。
– 危機的な状況のシナリオや事業継続に必要な要素の変化に対応する
– BCPの実施状況や効果をモニタリングし、問題点や改善点を洗い出す
– BCPの内容や方法を利用者や職員や関係者に周知し、フィードバックを受ける
まとめ
この記事では、小規模介護・福祉施設事業者が自力でBCPを作成するためのチェックポイントを紹介しました。
以下の5つのステップに沿って、BCP作成に挑戦してみましょう。
– ステップ1:事業の目的と重要度を明確にする
– ステップ2:危機的な状況のシナリオを想定する
– ステップ3:事業継続に必要な要素を特定する
– ステップ4:事業継続の方針と手順を策定する
– ステップ5:BCPを定期的に見直し・改善する
BCPは、危機的な状況に備えるだけではなく、事業の目的や価値を再確認し、事業の改善や発展につなげることができるツールです。
小規模介護・福祉施設事業者でも、自力でBCPを作成することは決して難しくありません。
ぜひ、この記事を参考にして、BCP作成にチャレンジしてみてください。
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