BCP対策

介護施設にBCP策定と運用が義務化!運営指導でチェックされる3つのポイント

2021年の介護報酬の改定にともなって、2024年4月1日より、すべての介護施設に事業継続計画(BCP)策定と運用が義務づけられます。そのため、4月以降の運営指導ではBCPの策定・運用状態もチェックされることになります。

もしその運営指導の中で不備を指摘されると、早急に改善しなければならず、最悪の場合は介護報酬が減額されてしまう可能性もあります。

この記事では、運営指導の中で、BCPについてどんなことをチェックされるのか、そして事前に行っておくべきことについてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

BCPとは?

BCP(事業継続計画)は、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に直面した場合、事業資産の損害を最小限に抑え、中核となる事業を継続または早期復旧するための計画です。これを達成するために、通常時に実施すべき活動や緊急時に必要な手段や方法が事前に取り決められます。

緊急事態は予測できないもので、適切な対策を講じなければ、最悪の場合、廃業を余儀なくされる可能性があります。また、事業の縮小や従業員の解雇といった状況にも直面するかもしれません。倒産や事業縮小を回避するためには、BCPを平常時から十分に準備し、緊急時に事業の継続と早期復旧を実現することが非常に重要です。

チェックされる3つのポイント

2022年3月に厚生労働省から、各都道府県の介護保険担当課へむけて、運営指導マニュアルが公表されています。その運営指導マニュアルでは、BCPについて、下記の3つのポイントについてチェックされることとなっています。

  1. 感染症、非常災害発生時のサービスの継続実施及び早期の業務再開の計画(業務継続計画)の策定及び必要な措置を講じているか
  2. 職員に対する計画の周知、研修及び訓練を実施しているか
  3. 計画の見直しを行っているか

ここからは、それぞれのチェックポイントについて、詳しく解説していきます。

ポイント①BCPの策定および必要な措置を講じているか

チェックされるポイントとしては、BCPが策定されているかどうかがチェックされます。運営指導の際は、実際に策定したBCPを見せることとなります。

PC上で見せることももちろん可能ですが、「どこのフォルダにしまったかな…?」となると、探す手間も時間もかかってしまうため、あらかじめBCPを印刷しておき、ファイルに綴じておくことがオススメです。

ポイント②職員に対する計画の周知、研修及び訓練を実施しているか

ここでは下記2つのことを実施することが求められています。

  • 職員に対する計画の周知・研修
  • 職員に対する訓練

つまり、作成したBCPを職員さんに理解していただくための研修を行うということですね。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

職員に対する計画の周知・研修

周知・研修の方法としては、定期的なミーティングの際に共有するようにしましょう。BCPの保管場所や発令基準、緊急連絡方法などを確認したり、策定したBCPを1ページずつ読み合わせていくのもオススメです。

せっかく策定したBCPを1度共有するだけで、棚に直しこんだままにするのではなく、定期的にスタッフさんと読み合わせをしていきましょう。このように進めていくことで、自然と職員の方々に定着していくことでしょう。

職員に対する訓練

BCPを策定して、理解するだけではいけません。実際にBCPを使っていくための「訓練」が必要です。例えば、災害発生を想定したシミュレーション訓練や、避難訓練、安否確認訓練、防災機器の使用訓練などBCPで想定される様々な事例を実際にやってみるのが訓練です。

運営指導の際、研修や訓練を実施していることをどのように確認するのでしょうか?その訓練の様子を見せることは難しいし、スケジュールという点でも現実的ではありませんよね。そのためには、訓練の実施記録が必要となります。

※実施記録に決まった形式はありません。下記よりダウンロードしてご活用ください。(Word形式)

ダウンロード

研修、訓練をただ実施するだけではなく、その内容を必ず記録として残すことが重要です。また、訓練は業態によって最低限の実施回数が異なります。入所系は年間2回、通所・訪問系は年間1回以上訓練を実施しましょう。

どんな訓練があるのか、まず最初に取り組むとしたら何がオススメか、イグジットでも相談に乗りますので気軽にご連絡ください。

計画の見直しを行っているか

BCPは、毎年見直し、改定していくことが必要です。施設の状況、社会情勢は日々変化しています。例えばスタッフさんの入退社、利用者様の介護度の変更、さらに新たな災害発生等で地域の防災リスクが変わることもあります。

他にも、訓練をした結果、作成したBCPでは不十分であることもあるでしょう。それらを踏まえて、BCPを毎年最新の状態にするために、改定することが必要です。

また、BCPの最終ページに改定記録を記入し、改定の都度改訂履歴を残しましょう。運営指導の際、この改訂履歴を提示することで、定期的にBCPの見直しをしている事も示すことができます。

BCP作成の参考動画もある!

感染症や自然災害が発生しても、介護サービスの安定的かつ継続的な提供は非常に重要です。そのため、介護施設や事業所が業務を継続するための計画である業務継続計画(BCP)の作成を支援するための研修が厚生労働省によって開催されました。

その研修時に使用された資料とBCPの作成手順を説明した研修動画(2021年度版)も掲載されています。総論なども視聴いただくことで、より深い理解を得ることができます。

今から新しくBCPを策定する、BCPの見直しをする際の参考となりますので、ぜひ一度目を通してみましょう。

*参考:介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画|厚生労働省

まとめ

いかがでしたか。BCP策定と運用の義務化まで、まだ猶予はありますが、今から準備を進めていきましょう。

私たちは全国の介護施設のBCP(事業継続計画)策定支援も取り組んでいます。不安なことや分からないことがあれば、気軽に相談してください。これからの日本の未来を明るくしていくために、一緒に頑張っていきましょう。